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Société franco-japonaise des bibliothécaires et des documentalistes (SFJBD)

小林宏記念日仏図書館情報学会賞

 日仏図書館情報学会では、本学会元会長小林宏氏のご遺族よりいただきましたご寄附を基金として、「日仏図書館情報学会表彰規程」により、毎年「学会賞」「奨励賞」「交流推進賞」を公募・選考・授賞しています。

第14回(2023)

 公募中→詳細


第13回(2022)

学会賞:伊藤敬氏(元独立行政法人日本スポーツ振興センター)

<授賞理由> 当学会員である氏は、当学会が創立50周年記念として出版したガブリエル・ノーデ『図書館創設のための提言』(2022年8月刊)の訳者である。氏は、学会誌『日仏図書館情報研究』第41号(2013)及び第42号(2014)の2号に長年の入念な調査研究に基づく『提言』新訳を寄稿し、このたび改めて氏が手を加えたものがこの出版物である。フランス図書館学の古典である本書を学会創立50周年記念に相応しい成果として刊行することができたのは、ひとえに氏の優れた研究と訳業によるものと言える。
 以上の功績は学会賞に相応しいので、ここに授賞する。

第12回(2021)

学会賞:中武香奈美氏(横浜開港資料館(~2022.3))

<授賞理由> 当学会員である氏の編集になる中山裕史著『幕末維新期のフランス外交 レオン・ロッシュ再考』(日本経済評論社、2021年10月刊)は、ロッシュに関する未定稿資料を残して急逝された中山氏の研究を丁寧に検証し、5年に及ぶ歳月をかけて出版された研究書である。本書は、フランスと東アジアというグローバルな視点から多様な史料・文献を用いて、より真実に近いロッシュの側面を浮き彫りにした第一級の研究となっている。
 また、中武氏が資料館の専門職員としてこうした業績を世に出したことは、当学会員の学術研究への貢献の在り方について、優れた模範を示すものである。
 以上の功績は学会賞に相応しいので、ここに授賞する。

第11回(2020)

奨励賞:大沼太兵衛氏(国立国会図書館)

<授賞理由> 当学会員である氏がこのたび刊行した「アーカイヴズ-記録の保存管理の歴史と実践(文庫クセジュ Q1042)」(白水社)は、フランスを中心にアーカイヴズについて幅広く論じたブリュノ・ガランの好著"Les archives (collection Que sais-je? no.805)"の優れた訳である。原著の刊行から時を置かず我が国の読者のために訳書を世に出し紹介した氏の業績は、高く評価できる。また、我が国においてもアーカイヴズへの関心が高まりつつある今日、時宜にかなった、かつ当学会員の研究対象領域の拡大・活性化を促す業績であることも評価される。
 氏の功績とさらなる成果への期待は奨励賞に相応しいので、ここに授賞する。

第10回(2019)

学会賞:薬師院はるみ氏(金城学院大学文学部教授)

<授賞理由> 氏が2019年に上梓した『フランスの公務員制度と官製不安定雇用 図書館職を中心に』(公人の友社)は、近代フランスの図書館制度の発展、特に図書館職制度の変遷・現状を分析・紹介するもので、複雑な事情をきわめて平易に解説している好著と評価する。司書職制度のみならず、フランス図書館の現代史、フランスの図書館事情全般を理解する上で大変有益な著作である。また、本著作は日本の司書職制度、特に昨今の図書館における非正規職員問題への深い関心に裏付けられており、制度は異なるが、日本の司書職制度に関心を持つ人たちにも貴重な文献である。
 本著作を以上のごとく評価し、フランスの図書館事情に関する優書を著した業績は学会賞に相応しいので、ここに授賞する

第9回(2018)

交流推進賞:渡邊和彦氏(英仏翻訳・国際出版記者)
      竹内和芳氏(VIZ Media Europe Group代表、元祥伝社社長)

<授賞理由> 両氏は『出版ニュース』(出版ニュース社発行)の連載コラム「海外出版レポート-フランス篇」を担当し(渡邊氏:1989~2014年、竹内氏:2014~2019年)、フランスの出版事情はもとより、書店、図書館、読書、著述家、文化政策、日本を含む海外向け書籍輸出など、フランスの「書物」に関わる幅広い範囲の記事を執筆した。同コラムは、他に類の少ないフランス書物・出版関連情報の日本向け発信であり、両氏の長期にわたる優れた記事執筆の功績は特筆に値する。
 これらの業績は交流推進賞に相応しいので、ここに授賞する。

第8回(2017)

奨励賞:野村悠里氏(東京大学大学院人文社会研究科助教)
交流推進賞:松本慎二氏(元ユネスコ職員、元サイバー大学教授)

<授賞理由(野村悠里氏)> 氏が2017年2月に上梓した『書物と製本術 ルリユール/綴じの文化史』(みすず書房)は、17、18世紀フランスにおける製本技術の諸様相と製本職人をめぐる社会的コンテキストを詳細に考察したものである。こうした研究は日本には類がなく、その深い探求は特筆すべき成果と評価する。
 合わせて、氏は当学会会員であり、授賞対象期間において学会誌『日仏図書館情報研究』第40号に「ルネサンス期のルリユール-ド・トゥの紋章本」(2016年3月刊)を、また第42号に「19世紀初頭のルリユール:王立聾学校製本教授マチュラン=マリー・レネによる「保存製本」」(2018年3月刊)を寄稿している。双方とも精力的な研究を示す論考で、これらも優れた業績と評価する。
 これらの業績は奨励賞に相応しいので、ここに授賞する。

<授賞理由(松本慎二氏)> 
氏は国立国会図書館在職中に在外研究員として渡仏、1975年からはユネスコ職員として世界各国において図書館・ドキュメンテーション・文書、考古学、美術作品のデジタル・アーカイブ等の分野において多大な貢献をしてきた。日仏図書館情報分野に関しては、パリ日本文化会館の設立(特に図書館開設準備)等について多大な尽力があった。
 また、こうした経験・人脈やパリ在住歴を活かし、日本の図書館情報関係者のフランスにおける調査研究・会議参加等に際しては助力・協力を惜しまず、日仏両国関係者の実りある交流推進に長年にわたり貢献した。
 これらの業績は交流推進賞に相応しいので、ここに授賞する。

第7回(2016)

学会賞:松崎-プチマンジャン碩子氏(コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所前所長)

<授賞理由> 氏は長くコレージュ・ド・フランス日本学高等研究所図書館の責任者を務め、また1997年から2009年までは同研究所所長の任に就き、フランスにおける日本研究を支援・推進してきた。同時に、日仏文化交流史の文献研究において優れた業績を著しており、第7回学会賞授賞審査対象の2014年から2016年までに限っても、以下の著作が挙げられる。

・"Deux ans au Japon 1876-1878 : Journal et correspondance de Louis Kreitmann, officier du génie", Paris : IHEJ, 2015.(共編)
・『両大戦間の日仏文化交流:"REVUE FRANCO-NIPPONNE"別巻』ゆまに書房、2015.(共編・著)
・「日記と手紙に記された開国日本-フランス士官の滞日報告」(『集と断片:類聚と編纂の日本文化』)勉誠出版, 2014, pp.313-330.

 これらの業績は学会賞に相応しいので、ここに授賞する。
 なお、氏は当学会の会員であり、これまで在仏・在欧日本研究図書館の発展、日仏図書館交流のために大いに貢献されている。

第6回(2015)

学会賞:クリストフ・マルケ氏(フランス国立東洋言語文化大学教授、日仏会館フランス事務所長)

<授賞理由> 氏は日本近世・近代美術史及び出版文化史を専攻するフランスの日本研究者である。日本の出版文化、在外和本コレクション等を主題とする多くの業績を著しており、第6回学会賞授賞審査対象の2013年から2015年までに限っても、以下の著作が挙げられる。

・『テキストとイメージを編む-出版文化の日仏交流』(勉誠出版、2015年)(編著)
・「フランスの和本コレクション-各所での調査と発見」『日仏図書館情報研究』No.39, 2015.
・「エマニュアル・トロンコアの和本コレクション」『日仏文学・美術の交流』(思文閣出版、2014)所収。

 これらは、日仏の図書館情報学、書物学、出版学に関わる極めて優れた著作であり、その研究成果と貢献は学会賞に相応しいので、ここに授賞する。

第5回(2014)

学会賞:岩崎久美子氏(国立教育政策研究所)
奨励賞:ヴェロニク・ベランジェ氏(フランス国立図書館写本室)

<授賞理由(岩崎久美子氏)> 氏は『フランスの図書館上級司書 選抜・養成における文化的再生産メカニズム』(明石書店)を2014年10月に上梓した。同書はフランスにおける図書館及び司書教育を歴史的に総括したうえで、特に上級司書の養成と文化的再生産を考察している。著作は緻密な文献上の分析と丁寧な実地調査に基づき、優れた学問的成果を示している。同書はまた、フランス図書館界の現状を分かりやすく概括しており、日本語のフランス図書館関係書が少ない状況において今後の基本文献となりうることから、同書はこの点でも格別の意義を有する。
 以上の研究成果と貢献は学会賞に相応しいので、ここに授賞する。

<授賞理由(ヴェロニク・ベランジェ氏)> 氏は、2009年から約5年間続けられたフランス国立図書館写本室所蔵「酒飯論絵巻」についての協同研究における中心人物のひとりである。この研究は、美術、文学、民俗学、人類学、言語学、書誌学など、日仏共同の総合的・学際的研究の先駆的な研究スタイルのモデルとも言える。また氏は、フランス国立図書館電子展示会「フランスの日本ひとつの出会い1850-1914」(2014年公開)の企画・官製、日本資料専門家欧州協会(EAJRS)総会における研究発表など、日仏両国にわたる図書館情報学研究の分野でめざましい活動を続けている。
 以上の貢献は奨励賞に相応しいので、ここに授賞する。

第4回(2013)

奨励賞:須永和之氏(國學院大學文学部教授)
交流推進賞:清水裕子氏(日仏会館図書室)

<授賞理由(須永和之氏)> 氏は、図書館情報学専攻の研究者・教育者として、特に図書館員教育、学校図書館の領域で幅広く活躍している。日仏図書館情報関係においては、今回の授賞審査対象となる2011年から2013年の著作として、「フランスの学校図書館」(『日仏図書館情報研究』38号、2013)が挙げられる。フランスの学校図書館はこれまで日本では研究されてこなかった分野であり、同著作を含む氏の一連の研究は重要な業績である。加えて、「日本の図書館職員の養成と教育」(『フランス図書館協会雑誌』61号、2012)、「フランス図書館員協会(『現代の図書館』50巻4号、2012)等の著作により、この3年間に日仏図書館情報学分野で多くの業績を上げている。なお、氏は、日仏両国の学校図書館の進展を図るため両国関係者による協同計画にも取りかかっており、その成果が期待されている。
 以上の研究成果と貢献は奨励賞に相応しいので、ここに授賞する。

<授賞理由(清水裕子氏)> 氏は、1983年から2003年、次いで2009年から現在まで、長年にわたり日仏会館図書室の司書として勤務している。その間、日仏会館の活動及び日仏関連の研究・交流において図書室が果たす役割の重要性を常に意識して資料構築・施設運営に努め、また日仏会館・フランス事務所や日仏関連学会との連携、様々な機会をとらえての展示やイベントの実施に尽力してきた。さらに氏は、図書室利用の日仏の研究者を結びつける媒体としての役割を積極的に担い、図書館を通じた日仏の交流推進に多大な貢献をしてきた。特に近年、財政状況等により図書室の活動が制約される中で、氏は図書室のプレゼンスを維持するための交渉・調整を地道に続け、それにより図書室が現在も重要な存在であり続けている。加えて、氏は長年にわたり本学会の事務局担当幹事を務めるとともに、『日仏図書館情報研究』の「フランス図書館関係和文文献目録」の編纂にも携わっている。
 以上の貢献は交流推進賞に相応しいので、ここに授賞する。

第3回(2012)

交流推進賞:山形八千代氏(恵泉女学園大学図書館)

<授賞理由> 氏は、『日仏図書館研究』No.16(1990)から『日仏図書館情報研究』No.30(2004)に至る15年間、編集担当幹事として尽力した。また同誌掲載の「フランスの図書館この1年」におけるLivre Hebdo誌からの記事の選択、翻訳・編集作業の中心的役割を、改題後のNo.17(1991)以降現在まで続けている。さらに、同誌の「フランス図書館関係和文文献目録」の編集についても長年中心となって行った。その集大成とも言える活動として当学会40周年記念出版の図書『フランス図書館の伝統と情報メディアの革新』(2011年刊)の「第Ⅱ部 フランス図書館関係和文文献目録累積版」の編纂が挙げられ、氏の尽力なしには完成できなかったと言えよう。これらの業績は、日仏の図書館関係の最新情報として、インターネットが普及する以前より貴重な日本語情報源となると共に、その蓄積は今後も活用できるツールとなっている。これらは、日仏の図書館情報の分野における交流推進の基盤をなすものと言える。また、氏はフランス国立高等図書館学校(ENSB)を卒業し、その貴重な見聞を基に日本においてフランスの司書養成教育の調査研究を続け、学会誌や『現代の図書館』等に紹介記事や翻訳を掲載し、これらはこの分野における希少な日本語文献であり続けている。日仏の図書館情報分野での継続的な貢献、さらに当学会幹事としての他の活動における貢献も合わせ、交流推進賞に相応しいのでここに授賞する。

第2回(2011)

交流推進賞:森村悦子氏(日本財団 International Program Department)

<授賞理由> 氏は、財団法人国際文化会館図書室での勤務を経て渡仏、1981年から2006年までの在仏中、フランス国立科学技術研究所情報センター(CNRS)Cellule Japon、フランス国立東洋言語文化研究所(INALCO)図書館、パリ国際大学都市日本館図書室、パリ日本文化会館(MCJP)図書館等、フランスにおける日本関係の図書館の重要な拠点において司書を歴任した。特にパリ日本文化会館図書館については1996年の準備段階から携わり、約10年にわたり首席司書として資料の収集、運営に尽力し、また同図書館の機関誌「La Lettre de la bibliothèque」の編集・刊行、講演会等多くのアニマシオン活動を行い、図書館を拠点とする日仏交流に大きな貢献をした。1998年には、日仏図書館情報学会の日仏シンポジウムを同会館において成功させた。帰国後、現勤務先においても、フランスをはじめとする海外図書館への図書寄贈事業を担当している。一図書館司書にとどまらぬ幅広い経験と人脈、日仏両国の文化・芸術についての豊富な知識、交流事業に対する行動力・企画力において、交流推進賞に相応しいのでここに授賞する。

第1回(2010)

学会賞:尾本圭子氏(ギメ美術館館長顧問)
交流推進賞:岡田恵子氏(元・日仏会館図書室)

<授賞理由(尾本圭子氏)> 《Van Gogh, pélerinages japonais à Auvers : études et présentation des livres d'or de Paul Gachet》, Paris: Musée Guimet; Suilly-la-Tour: Éd.Findakly ,2009, 173p. は、ヴァン・ゴッホ終焉の地であるフランス、オーヴェールの医師ガシェ家の『芳名録』を写真図版で再現するとともに、当時同家に所蔵していたゴッホ作品を見るために訪れてそこに署名を残した、主として日本人の芸術家・知識人240余名に及ぶ人物について考証しフランス語で公刊したものである。著者は、ギメ美術館に寄贈され図書館に眠っていたアーカイブズ資料の重要性に早くから注目し、日仏両国の図書館等で長年にわたり緻密な調査を行って、20世紀初頭の日仏芸術・文化交流史の一側面に新たな光を当てている。美術館図書室司書の立場からするドキュメンテーション活動として、また、日本のみならずフランスにおける(フランス語による)今後の研究にも資するという点からも高く評価されるので、第1回小林宏記念日仏図書館情報学会賞に相応しい者としてここに授賞する。

<授賞理由(岡田恵子氏)> 氏は日仏会館図書室に司書、主任司書として1964年から2001年まで勤務し、フランスの資料・情報の収集・整理・提供等を通じて日仏交流に多大な貢献をなした。本学会の前身である日仏図書館研究会の創立会員でもあり、とりわけ事務局として万般にわたる事務を引き受けた功績は大きく、40年を経て今日学会があるのは、ひとえに氏の献身の賜物と言っても過言ではない。また、日仏会館在職中からフランス学長、来訪研究者・研修生、学会による招聘専門家、図書室利用者等との人間的な交流に特に意を用い、退職後は図書室友の会の世話人としても活躍した。日仏の図書館交流の推進に貢献された個人、機関は他にもあると思われるが、現時点で本賞の趣旨をもっともよく体現する者として、また、後続の受賞者に道を拓くものとして、第1回小林宏記念日仏図書館情報学会交流推進賞に相応しいのでここに授賞する。 


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ni日仏図書館情報学会創立50周年
記念出版
ガブリエル・ノーデ
『図書館創設のための提言』

(伊藤敬 訳)


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日仏図書館情報学会創立50周年
記念出版
『書物史研究の日仏交流』
(樹村房)


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『日仏図書館情報研究』
No.47(2023)
(販売:日本図書館協会)
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